DSへの音声入力(イヤホンマイクの改造)

電子工作の初心者がDSに任意のマイク機器を利用できるようにアレコレした記録です。初めて故に試行錯誤しながらなので途中の画像や自前の回路図等はありませんので、参考になるかは不明。

DSのマイク端子について

ニンテンドーDSには内臓マイクがある他、マイク機器を接続できるジャックがあります。イヤホンジャックとの混同を避けるためか特殊な形状になっています。

DSのマイクジャック(左)
DSのマイクジャック(左)
DSのマイクプラグ(左)
DSのマイクプラグ(左)

そのため市販のDS用マイク機器を改造して3.5mmミニジャック化する手法が広まっています。*1 *2
中身は普通のプラグインパワー対応のモノラルマイクジャックかつ端子の形状も単純なもの(向かって右がGround左がMic)。今回は話せる!ステレオイヤホンマイクDLiteを入手できたのでそちらを改造しましたが、手に入らなくてもマイクプラグを自作するのも不可能じゃなさそうです。

イヤホンマイクの3.5mmミニジャック化

改造手法については、まとめてあるページがあります。

上記を参考にすれば3.5mmミニジャック化することは可能です。注意点としては、ダイソーを始めとした各種100均のステレオ分配器は既に廃盤白い小型の後継機に移行している点です。形状が似ているMM-AD21(サンワサプライ)AT3C25S(audio-technica)はネジ留めではないので開閉に難があり不適。そのため今回はステレオミニジャック2個と熱収縮チューブ(Φ3mm)で代用しました。*3 透明なチューブなので青色コードの有無でイヤホンジャックを見分けられます。

3.5mmミニジャック化したイヤホンマイク
3.5mmミニジャック化したイヤホンマイク

しかし、「DSライン」と名前が付いているものの実際にはマイク端子です。プラグインパワー対応のため他の機器の音声出力を直接繋ぐと余分な電圧がかかってノイズが入ってしまいます。幸いこのノイズは少なく*4、マイクを繋げていてもノイズが入りやすい*5ので問題視されることは無かったようです。しかし、もったいないので解決方法を考えます。

プラグインパワーの電圧をカットする

プラグインパワーによるノイズの問題は、実は3DSの頃に顕在化しています。3DSは一般的なCTIAの4極端子なため、スマホ用の4極→3極アダプタを利用できます。しかし、前述の通りマイク端子に他機器から音声入力を行うとノイズが入ります。そこで作られたのが3DSライン2です。

目的とすることは同じであるためDS用の機器でも同じように抵抗器コンデンサを組み込むことで対応できるはずです。ただしプラグインパワーの電圧を必ずカットしてしまうため、今度はマイク*6を利用できなくなってしまいます。その切り替えスイッチも組み込めば良いのでしょうけども、今回はジャック×2のみのコンパクトな構造であるため抵抗器1つ追加することすら困難です。

よって、マイクジャックの先に別機器を接続する方法を採りました。プラグインパワーの電圧をカットするための機器については、以下のページで紹介されています。

回路図では抵抗器については20kΩになっていますが、実装した2つ目の記事で20kΩ〜39kΩの中間が良さそうだとの記述があります。あくまでSONYの民生機ハンディカムのデータですので、DSにとっては適正な値ではない可能性があります。3DSライン2では10kΩを利用しており、また音声入力の音量調整が容易なことを考えると低めでも大丈夫かもしれませんね。

プラグインパワーの電圧カット機器(左:調査機、右:完成品)
プラグインパワーの電圧カット機器(左:調査機、右:完成品)

ということで可変抵抗器で調査機(左)を作り試したところ、10kΩで十分そうでした。これより大きいとイヤホン端子からの出力だと音量が足りずに小さい音でしか認識されなくなります。最終的にモノラル入力となるのでDSでは無関係ですが、他に転用することを考えると左右の抵抗値に差がないよう選別して使っておくと良いでしょう。欲を言えばDIPスイッチ 4Pで33kΩを4つ並列で繋いで機器に合わせて使い分けると良さそうです。*7 完成品(右)にはノリでRCAジャックを付けましたが、これのおかげでネジ留め1箇所で済みの付け外しが楽になったので結果オーライ。

なお、知識不足でにステレオミニジャックを始めいくつか2.54mmピッチに合わない部品があったため、半田を盛って強引に繋げていたり複数ホールを半田で接続してコードを繋ぎやすくしてますが多分良くないことだと思います。ケースへの収め方も含めて改善点多数ですので、使用した部品はまとめないでおきます。

動作確認

ペラップのおしゃべりで動作確認。せっかくなのでiPad4極→3極のアダプタを繋げて、DSの音声出力をプラグインパワーの電圧カット機器を介してマイク端子に接続して録画しました。

バトレボ実況の「決まったー!」を録音したのですが…だいぶ音質悪く感じるので他ソフトでもテスト。こちらはトリックルーム発動時のあのセリフ。

こちらはBGMもSEもきちんと聞こえます。どうやらおしゃべりでは音を加工しているようですね。ペラップの声真似であるという設定や音声データをセーブする必要があると考えるとそりゃそうか。ただ、880Hzを録音するとどうにもノイズが目立ち、内臓マイクとほぼ差を感じませんでした。

それでもきちんと音量が大きくなるよう録音した*8ので、chatot-analyserでBGM有りの場所でも識別させることは出来ました。*9 こちらもプラグインパワーの電圧カット機器を介して4極イヤホンマイク端子から入力しています。BGMによる誤認識を避けるためにペラップの鳴き声の間をあまり空けないで行う必要がありますが、十分実用範囲だと思います。

chatot-analyser(音声の認識)
chatot-analyser(音声の認識)
chatot-analyser(認識したデータから消費数の検索)
chatot-analyser(認識したデータから消費数の検索)

動画には残しませんでしたが、プラグインパワーの外部マイクも問題なく利用できることも確認しました。かくして無事完成です。

*1:ガソリンスタンド Nintendo DSシリーズ用外部マイクアダプター(NTR-019 Custom)

*2:「ニンテンドーDSシリーズ専用マイク変換アダプタ製作」あるふぁ (。。;)のブログ | エブリイ日和(Keiワークスも) - みんカラ

*3:ケーブルの太さが足りずジャックの根本がフラフラしています。どうにか対策を考えたい。

*4:プラグインパワー:Plug-in Powerとは | 偏ったDTM用語辞典 - DTM / MIDI 用語の意味・解説 | g200kg Music & Softwareにあるように掛かる電圧は機器によって違うため、その影響かもしれない。

*5:FAQ|カルドセプト DS スペシャル サイトで言及される程度にはノイズが入るようです。

*6:PC・スマホ用のコンデンサマイク

*7:今回初めて電子工作したビギナーの言うことなので、実際にこれで出来るのかはよく確認してください。

*8:音声データはペラップ乱数向け 880Hz音声ファイルに置いておきます。

*9:seedは「リッシこのくうどう」にてアグノムを捕獲してその個体情報(がんばりや,個体値17-1-1-1-20-7)の先頭のものを利用しています。